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文献概要
図解・病態のメカニズム 腎疾患・12
多発性嚢胞腎
著者: 柏木哲也1 飯野靖彦1 赫彰郎1
所属機関: 1日本医科大学第2内科
ページ範囲:P.2439 - P.2444
文献購入ページに移動多発性嚢胞腎は遺伝性疾患であり,常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease:以下,ADPKD)と常染色体劣性多発性嚢胞腎(Autosomal RecessivePolycystic Kidney Disease:以下,ARPKD)の2つがある.ARPKDは6,000〜60.000人に1人の発生頻度であり,約75%は生後早期(数時間〜数日)で死亡し,生命予後が悪い.他の25%は20歳までにほとんどが腎不全となり,透析あるいは移植療法が必要になる.
一方,ADPKDは米国では1,000人に1人と高率の発症(米国には20〜30万人)で,遺伝性腎疾患の中で最も頻度が高い.日本では1994年推定受領患者数15,000人で,このうち透析患者は5,000人で全透析患者(15万人)の3〜5%を占める.この疾患は腎肝膵に多発性嚢胞を認め,また気管支拡張症,脳動脈瘤,僧帽弁逸脱などを合併する頻度が高い.現在までに,PKD1遺伝子,PKD2遺伝子の2つの遺伝子異常が見つかっている.
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