文献詳細
カラーグラフ 塗抹標本をよく見よう(最終回)
顆粒球
著者: 久保西一郎1 藤田智代2 森澤美恵2 浜田恭子3 高橋功4 三好勇夫1
所属機関: 1高知医科大学第3内科 2高知医科大学付属病院中央検査部 3高知県立中央病院血液検査科 4高知県立中央病院内科
ページ範囲:P.547 - P.552
文献概要
前回,好中球の著しい増加が認められた顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)産生肺癌患者の末梢血塗抹標本を紹介したが,今回は,化学療法中に生じた好中球減少症に対して投与されたG-CSFにより好中球の著しい回復が認められた悪性リンパ腫患者の末梢血と骨髄の塗抹標本を紹介する.
図1はG-CSFの投与を受けた患者の末梢血塗抹標本である.成熟した分葉好中球の著しい増加が認められる.G-CSFの投与により増加した好中球の胞体内には,図のように活性化した好中球にしばしばみられると同様の多数の粗大顆粒が認められる.図1と同じ末梢血塗抹標本には骨髄芽球(図2),前骨髄球(図3,図中→),骨髄球(図4,図中→),後骨髄球(図4,図中*),stab(図5,図中→),分葉好中球(図5,図中*)と各成熟段階の好中球系細胞が認められた.図6はG-CSFの投与により好中球が増加している時期に得られた骨髄の塗抹標本である.骨髄芽球(→)をはじめとするいろいろな分化段階の好中球系細胞が認められ,骨髄において顆粒球系細胞が盛んに産生されていることがうかがえる.
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