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文献詳細

雑誌文献

medicina35巻11号

1998年10月発行

文献概要

内科エマージェンシー 私の経験

精神科受診中意識消失を生じた症例

著者: 上坂義和1

所属機関: 1虎の門病院神経内科

ページ範囲:P.82 - P.82

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 救急室から意識消失の患者がいるので来て欲しいと連絡があった.聞けば某有名病院精神科に受診している48歳女性とのこと.何で精神科でなくて神経内科なんだと少し不満もあったが仕方ないとかけつけた.Arm dropping testをしてみると見事に顔の上に落ちる.レジデントが言うには「精神科の外来を受診するため家族と一緒に独歩来院し,待っている間に呼吸停止が生じた.挿管しようとしたら喉頭展開したところで呼吸が戻った.某精神科に『夜眠れない.だるい.疲れやすい』というので数カ月前からかかっているが,ヒステリーでここまでなるのか?」という.返ってきた呼吸回復直後の血液ガスではなんとPco2103.その他,血圧,緊急の血算,生化,胸部X線,心電図では正常とのこと.Arm dropping testの結果もあるので,さすがにヒステリではなかろうというので診察したが,巣症状や瞳孔異常などない.深部反射も正常で異常反射もない.項部硬直もなければ,発熱もない.向精神薬の大量内服なども考えたが異常眼球運動もないし,少し前まで家族がついていて薬の大量内服などできる状態ではなかった.困ったが,一応念のためにとアンチレックスを注射してみた.わずかだが呼吸がさらによくなったようだ.早速,反復刺激をしてみたら見事なwaningがみられた.後日返ってきた抗アセチルコリン受容体抗体も陽性だった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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