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文献詳細

雑誌文献

medicina35巻11号

1998年10月発行

文献概要

内科エマージェンシー 私の経験

現病歴,精神症状より疑ったレジオネラ肺炎

著者: 小林理1

所属機関: 1新潟県立中央病院内科

ページ範囲:P.170 - P.170

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 レジオネラ肺炎は進行が早く,早期診断・早期治療が行われないと死亡率が高い.最近では尿中抗原検出法,PCR法などが有用とされているが,一番重要なことは,主治医が発症早期に鑑別診断に本症をあげることである.
 症例は60歳男性で境界型糖尿病がある.平成3年9月5日出張先の老朽化したホテルに宿泊した.9月7日より発熱,歩行障害出現,9月8日咳嗽出現.当院救急外来で左肺炎の診断でCTMの点滴受けるも改善せず,9月9日入院した.飲酒歴は連日2合であった.入院時胸部X線写真(右図)で肺炎の急速な悪化と胸水の存在が疑われた.白血球数5,100/mm3であったがCRP50.7mg/dlと著増していた.動脈血血液ガス分析では室内気でPO2が38.6mmHgと著明な低酸素血症を認めた,肝機能障害(GPT72IU/l,T. Bil2.2mg/dl)と低P血症(1.0mg/dl)もみられた.喀疾培養では有意な細菌は検出されなかった.入院後,重症肺炎の診断にてIPM/CS,MINOの治療を開始するも効果なく,9月9日よりせん妄状態が出現した.9月11日には胸部X線上陰影は左肺全体に及んだ.9月12日より旅行歴,宿泊歴,精神症状よりレジオネラ肺炎を強く疑い,エリスロマイシン1g/日の併用と抗炎症作用を目的として水溶性プレドニン®50mgを開始した.9月14日より胸部X線の改善がみられ,9月15日には意識も清明となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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