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内科エマージェンシー 私の経験
大腿部の痛みを訴えるイレウス
著者: 吉澤誠司1
所属機関: 1宗像医師会病院内科
ページ範囲:P.190 - P.190
文献購入ページに移動 原因不明のイレウスで腹部以外の症状が診断のきっかけとなった症例を紹介する.
症例は89歳女性.腹痛と嘔吐で来院した.2日前から嘔吐が持続,排ガス,排便がなく典型的なイレウス症状を呈していた.腹部単純X線では拡張した小腸ガスと著明なNiveau形成がみられた.輸液を開始し,イレウス管を挿入した.ここでイレウスは間違いないとして,その原因は何なのだろうと考えた.手術歴はなく癒着性のものは考えにくい.腫瘍の可能性,腫重積などの機械的な閉塞も考えた.また,入院時より左側の股関節から大腿部にかけての痛みを訴え,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアを疑ったが,鼠径部に腫瘤は認めなかった.外科的処置が必要ではと考え外科のドクターに相談したところ,大腿部の痛みはHowship-Romberg signであり,閉鎖孔ヘルニアの疑いがあるとの返答であった.CTにて恥骨筋の下側に閉鎖孔ヘルニアの腫瘤が確認され,緊急手術となった.回腸がRichter型嵌頓をきたしていたが,壊死はなく無事整復は終了した.
症例は89歳女性.腹痛と嘔吐で来院した.2日前から嘔吐が持続,排ガス,排便がなく典型的なイレウス症状を呈していた.腹部単純X線では拡張した小腸ガスと著明なNiveau形成がみられた.輸液を開始し,イレウス管を挿入した.ここでイレウスは間違いないとして,その原因は何なのだろうと考えた.手術歴はなく癒着性のものは考えにくい.腫瘍の可能性,腫重積などの機械的な閉塞も考えた.また,入院時より左側の股関節から大腿部にかけての痛みを訴え,鼠径ヘルニア,大腿ヘルニアを疑ったが,鼠径部に腫瘤は認めなかった.外科的処置が必要ではと考え外科のドクターに相談したところ,大腿部の痛みはHowship-Romberg signであり,閉鎖孔ヘルニアの疑いがあるとの返答であった.CTにて恥骨筋の下側に閉鎖孔ヘルニアの腫瘤が確認され,緊急手術となった.回腸がRichter型嵌頓をきたしていたが,壊死はなく無事整復は終了した.
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