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文献詳細

雑誌文献

medicina35巻11号

1998年10月発行

文献概要

内科エマージェンシー 私の経験

内科エマージェンシーとしてのマラリア

著者: 大西健児1

所属機関: 1東京都立墨東病院感染症科

ページ範囲:P.356 - P.356

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 7月29日に出国し,ウガンダ,ケニアを観光旅行し8月1記日に帰国した初老の女性が,発熱のため8月20日の20時頃に当院救急外来を受診した.発熱は8月18日からあり,8月20日の日中には近医で感冒と診断され解熱剤(座薬)を処方されている.座薬を使用して来院したため,来院時には体温36.2℃であった.アフリカ旅行歴,発病日から腸チフス,パラチフスやマラリアを考え,その場で血液培養を行い,夜間であるので自分で血液塗抹標本を作成しpH7.4のギムザ染色を行いマラリアをチェックしたところ,熱帯熱マラリアを認め感染率が18%であった.即時入院とし,直ちに塩酸キニーネの点滴投与を開始した.
 入院後は一時状態が悪化したが,結果的に改善し9月3日に退院した.入院時に意識障害はないと思われたが,後日患者に尋ねたところ,入院時の記憶があいまいであった.熱帯熱マラリアに免疫のない日本人にとって,本疾患はエマージェンシーであり,この患者もあと2〜3日治療が遅れれば予後不良であったと推測され,極めて危険な状況だったと思われた.なお,本患者は旅行が好きで旅行先にマラリアという病気があることを知っていたが,身近な問題として考えたことはなく,マラリアの予防内服も行っていなかった.今後このような疾患の増加が予想されており,都会,堆方を問わず,内科医はマラリア検査も自分で行えるようにしておくのが理想的である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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