文献詳細
文献概要
内科エマージェンシー 私の経験
肺血栓塞栓症と誤診した急性好酸球性肺炎
著者: 遠藤健夫1
所属機関: 1茨城西南医療センター病院内科
ページ範囲:P.385 - P.385
文献購入ページに移動 従来健康な18歳男性が当日朝からの呼吸困難を主訴に夜間救急外来を受診した.呼吸は促迫しており,一見して重症感があった.呼気延長はなく,ラ音も聴取せず,喘息らしくはなかった.動脈血ガス分析でPaO249Torrと高度の低酸素血症を呈していた.胸部X線では気胸も肺炎も心不全も認めず,それゆえ肺血栓塞栓症が疑われた.しかし,心エコーでは右心負荷の所見はなく,胸部造影CTでも肺動脈血栓は明らかでなかった.苦しむ若者を目のあたりにして,低酸素血症の原因が確定できず肝を冷やした.肺血流シンチが施行できず,肺血栓塞栓症を否定し得なかっため,疑問を抱きながらも血栓溶解療法を開始した.
しかし,翌日になって呼吸状態はさらに悪化,胸部X線ではやはり明らかな異常陰影は認められなかった.肺血栓塞栓症にしてはなお疑問が残るため,胸部HRCTを施行した.一部にスリガラス状陰影および小葉間隔壁の肥厚が認められたが,これほどの呼吸不全をきたす原因とも考えがたかった.それでも,思いきってBALを施行してみると,好酸球の著増を認めた.何と急性好酸球性肺炎だったのだ.血栓溶解療法を中止し,直ちにステロイドパルス療法を開始した.以後,劇的に病状の改善が得られたが,胸部X線上両側の胸水および肺炎像は遅れて出現した.後にTBLBで急性好酸球性肺炎であることを確診した.
しかし,翌日になって呼吸状態はさらに悪化,胸部X線ではやはり明らかな異常陰影は認められなかった.肺血栓塞栓症にしてはなお疑問が残るため,胸部HRCTを施行した.一部にスリガラス状陰影および小葉間隔壁の肥厚が認められたが,これほどの呼吸不全をきたす原因とも考えがたかった.それでも,思いきってBALを施行してみると,好酸球の著増を認めた.何と急性好酸球性肺炎だったのだ.血栓溶解療法を中止し,直ちにステロイドパルス療法を開始した.以後,劇的に病状の改善が得られたが,胸部X線上両側の胸水および肺炎像は遅れて出現した.後にTBLBで急性好酸球性肺炎であることを確診した.
掲載誌情報