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文献詳細

雑誌文献

medicina35巻3号

1998年03月発行

Drug Information 副作用情報・24

トログリタゾン(ノスカール®)による肝臓死—危険と利益のバランスをどう判断する?

著者: 浜六郎1

所属機関: 1医薬ビジランスセンターJIP

ページ範囲:P.565 - P.570

文献概要

 トログリタゾン(ノスカール®)は,ビタミンEの骨格を有するチアゾリジン誘導体で,生体内におけるインスリンの作用を増強し,末梢(筋肉,脂肪)での糖利用の促進,肝糖新生の抑制等により血糖を降下させる新規の作用機序を有することが示された1)として,1995年に承認され,1997年3月に発売が開始された.11月末までの約半年間で15万〜20万人に処方され,13例に重症肝障害を生じ,そのうち3例の死亡例が報告された2).12月25日の発表では,入院あるいは入院相当の重症肝障害例が74人(2,700人に1人以上),うち死亡例は4人となった3,4).厚生省にはその後も報告されており,現在集計中とのことである4).潜在患者,潜在死亡者を考慮すると,死亡率も重症の患者発生率もさらに大きくなると思われる.
 アメリカでも,60万人に処方されて肝障害165例,死亡が4例報告されている3).イギリスでは,日本やアメリカからの死亡例の報告により,早速発売が中止された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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