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SCOPE
EBM(Evidence-based Medicine)による内科腫瘍学
著者: 勝俣範之1 渡辺亨1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院内科
ページ範囲:P.577 - P.586
文献購入ページに移動がん診療におけるEBM
腫瘍内科医(medical oncologist)は,抗がん剤などの薬物療法を手段としてがん患者の治療を行う.何百種類ものがんを正しく診断し,約70種類の抗がん剤の中から最善と思われるものを選び出し,さらに患者の生命の質(Quality of Life:QOL)や医療経済効率(cost effectiveness)などを考えながら治療を組み立てていくのは容易なことではない.がん診療も,ともすれば経験主義,権威主義に走ってしまう傾向にあるが,“がん”という生命に重大な影響を与える疾患を持つ患者に対する医療が,何の科学的根拠もなく医師個人の限られた経験に基づいたものばかり行われた場合,時として患者に不利益をもたらしてしまうことがある.特に抗がん剤は副作用が強く,過剰投与をした場合,患者を死に至らしめることもある.逆に副作用を恐れ,投与量を加減したりすれば効果が出なくなってしまう.腫瘍内科医は,行おうとする治療が本当に患者に利益をもたらすことができるかどうか科学的根拠(evidence)を基に,日常の意志決定(decision making)をしていかなくてはならない.その際に,内科腫瘍学もまさにEBMの手法が必要不可欠のものとなる.
腫瘍内科医(medical oncologist)は,抗がん剤などの薬物療法を手段としてがん患者の治療を行う.何百種類ものがんを正しく診断し,約70種類の抗がん剤の中から最善と思われるものを選び出し,さらに患者の生命の質(Quality of Life:QOL)や医療経済効率(cost effectiveness)などを考えながら治療を組み立てていくのは容易なことではない.がん診療も,ともすれば経験主義,権威主義に走ってしまう傾向にあるが,“がん”という生命に重大な影響を与える疾患を持つ患者に対する医療が,何の科学的根拠もなく医師個人の限られた経験に基づいたものばかり行われた場合,時として患者に不利益をもたらしてしまうことがある.特に抗がん剤は副作用が強く,過剰投与をした場合,患者を死に至らしめることもある.逆に副作用を恐れ,投与量を加減したりすれば効果が出なくなってしまう.腫瘍内科医は,行おうとする治療が本当に患者に利益をもたらすことができるかどうか科学的根拠(evidence)を基に,日常の意志決定(decision making)をしていかなくてはならない.その際に,内科腫瘍学もまさにEBMの手法が必要不可欠のものとなる.
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