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文献詳細

雑誌文献

medicina35巻4号

1998年04月発行

文献概要

カラーグラフ 感染症グローバリゼーション(最終回)

系状虫症(バンクロフト糸状虫症,マレー糸状虫症,回旋糸状虫症,イヌ糸状虫症について)

著者: 西山利正12 神田靖士12

所属機関: 1奈良県立医科大学寄生虫学教室 2奈良県海外渡航者健康相談事務局

ページ範囲:P.749 - P.755

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 糸状虫(フィラリア)は吸血昆虫媒介性寄生虫で,成虫は脊椎動物のリンパ系,血管系,皮下などに寄生する.雌成虫は卵胎生で一般的に仔虫(ミクロフィラリア,microfilaria)を産出し,それが再び媒介昆虫(vector)の固有宿主吸血時に取り込まれ,媒介昆虫内で発育し感染幼虫となる.そして媒介昆虫の固有宿主吸血の際にその昆虫の吻より再び出現し,経皮的に感染する(図1).ヒトに寄生する糸状虫は,バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti),マレー糸状虫(Brngia malayi),常在糸状虫(Mansonella perstans),回旋糸状虫(Onchocerca volvulus),ロア糸状虫(Loa loa)などが知られている.これら糸状虫は,世界的な温暖化傾向,治水灌概工事,砂漠の緑化などによってその媒介昆虫が増加していることから,今後注目しなければならない寄生虫である.
 現在わが国では,従来分布していたバンクロフト糸状虫,マレー糸状虫はほぼ撲滅され,これらによる急性期の糸状虫症はほとんど見ることはなくなってきた.ところが最近,画像診断の発達により,ヒトにその幼虫移行症を発症する病原寄生虫としてイヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)が報告され,注目を集めている.今回これらの疾患の中で,バンクロフト糸状虫,マレー糸状虫,回旋糸状虫,イヌ糸状虫による感染症について取り上げることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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