icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina35巻4号

1998年04月発行

文献概要

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・36

学生の権利を守るために生まれたボローニャ大学

著者: 二宮陸雄1

所属機関: 1二宮内科

ページ範囲:P.782 - P.783

文献購入ページに移動
 北イタリアのボローニャ大学の創立は1088年とされている.日本で『医心方』が書かれてから100年後にあたる.ボローニャでは,それ以前にも教区の民衆が法律を学ぶ権利が認められていたり,学生と教師の集合体も形成され,11世紀になって,商人を中心とする自治都市(コムーネ)ができて,商業活動のための法律の学習から始まったらしい.ボローニャには,やがてほかの都市や外国から学生が集まり,彼らは自分たちの権利を守るためにナチオ(同郷学生組合)を作り,これが集合して「統合体」(ウニヴェルシタス)を形成した.当時は一般には「ストゥディオ」と呼ばれ,これがのちの大学の起源となった.初めのころは,アルプス以南と以北の2つの学生組合があった.学頭(レクトル)を置いて自治的な法的形態をととのえ,学生は教師を自由に選んで,その教師と契約を交わして授業を受けた.
 この学生の統合体とは別に,ほとんどがボローニャ市民である教師が集まって「コレギウム」を作ったのは,ドイツから来たフリードリッヒー世がイタリアを支配してからである.このコレギウムは自治都市が認定した学位授与組織といえよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?