icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina35巻5号

1998年05月発行

今月の主題 内科医がよく遭遇する血管疾患

大動脈疾患

大動脈解離

著者: 雨宮邦子1

所属機関: 1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所循環器内科

ページ範囲:P.855 - P.858

文献概要

ポイント
●近年,増加しつつある血管疾患のなかでも予後不良と考えられている大動脈解離は高血圧,先天性結合織疾患(Marfan症候群)などに合併して起こることが多い.
●特徴的な臨床症状は激しい胸・背部痛であるが,心不全,四肢の虚血症状,脳卒中様症状を呈する例もある.
●本疾患が疑われた場合は,血圧(四肢の左右差),心雑音の有無,胸部X線写真,心電図などをチェックする.
●確定診断への検査として,超音波,CT,さらには血管造影検査と段階的に施行する.これらの検査で解離の有無,偽腔閉塞の有無,解離範囲,合併症の有無を的確に診断し,治療方針を迅速に決定することが,救命への第一歩である.
●偽腔開存型のStanford A型は外科治療が原則であり,B型では急性期合併症を有する例,切迫破裂例,瘤径が5cm以上の例を除き,降圧療法主体の内科治療を行う.
●慢性期の治療は,解離腔が残存している例ではその部位の拡大を防ぐため降圧療法を継続し,定期的にCT検査などを行い,瘤径の拡大がないかなど慎重に経過観察する.
●Marfan症候群では,病型にかかわらず経過とともに瘤径の拡大してくる例が多く,早期手術が望ましい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら