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雑誌目次

雑誌文献

medicina36巻10号

1999年10月発行

雑誌目次

今月の主題 見逃しやすい内分泌疾患 甲状腺疾患

甲状腺疾患を見落とさないために—注意すべき病歴,理学所見,一般検査データ

著者: 小澤安則

ページ範囲:P.1582 - P.1585

●甲状腺疾患の頻度は高い.その発見,正しい初期対応が一般診療でも重要.
●甲状腺疾患は一般血液検査では見つかりにくい.見落とさないためには病歴,理学所見を十分にとることが大切.
●甲状腺機能の把握は患者の動作,態度,表情,顔貌などの観察から始まる.
●初診で甲状腺機能の推定を行うべし.
●甲状腺の触診は正しく,かつ詳細に行う習慣を身につける.

甲状腺疾患を疑ったときの検査の進め方

著者: 内村英正

ページ範囲:P.1586 - P.1591

●甲状腺疾患の診断にはまず甲状腺腫,頻脈,眼球突出,振戦の有無を確かめ,同時に家族歴を聞く.
●血中ホルモン(FT3,FT4,TSH)で機能状態を知る.また,TgAb,TPOAbで自己免疫性疾患(Basedow病,橋本病)を確認する.
●機能低下症は臨床症状のみから診断するのは困難であり必ずホルモン測定を行う.

見逃しやすいBasedow病—masked hyperthyroidism,apathetic hyperthyroidismなど

著者: 橋爪潔志

ページ範囲:P.1592 - P.1594

●Masked,あるいはapathetic hyperthyroidismは,Basedow病としての検査所見を備えていながら典型的臨床所見を満たさない病態である.しかし,患者のバックグラウンドを理解すれば,特殊な病態ではないことが判る.
●臓器別の診療ではなく,全身を詳細に観察することが,これらの病態へのアプローチに必要である.

治療の遅れがちな甲状腺眼症状—Basedow病眼症

著者: 井上洋一

ページ範囲:P.1597 - P.1599

●眼球突出は眼瞼との相関で目立つ場合と,そうでない場合があり,診断が遅れやすい.
●兎眼性病変は,結膜,角膜所見を重症化し,悪性眼球突出症をきたす.
●複視は,個人の代償機能の程度により,進行するまで訴えない.
●視力障害には,角結膜病変以外に特有な甲状腺視神経症があるので画像診断は欠かせない.

原発性甲状腺機能低下症

著者: 高松順太

ページ範囲:P.1600 - P.1603

●甲状腺機能亢進症と比較し症状が静かなため,見逃されている例がきわめて多い.
●血中コレステロール高値と血中CPK高値の組み合わせがあれば,本症を疑ってみる.
●本症の最も多い原因は橋本病である.したがって,甲状腺の触診の手技に普段から習熟することが重要である.

分娩後の甲状腺機能異常

著者: 網野信行 ,   泉由紀子 ,   多田尚人

ページ範囲:P.1604 - P.1606

●分娩後の甲状腺機能異常には5型ある.
●その出現頻度は出産後女性の約5%である.
●産後の肥立ちが悪い状態と密接に関係する.
●機能異常の多くは一過性である.

結節性甲状腺腫の扱い方

著者: 宮内昭

ページ範囲:P.1608 - P.1610

●「結節性甲状腺腫」は触診所見であり,あくまでも暫定的診断名である.
●鑑別診断で重要な検査は超音波検査と穿刺吸引細胞診である.
●CT,MRI,各種の腫瘍シンチは悪性腫瘍と診断がついた後で必要に応じて検査する.
●明らかな悪性腫瘍を除外した「狭義の結節性甲状腺腫」の大部分は良性腫瘍であるが,なお一部に濾胞癌が混じっている.
●濾胞癌の術前診断は難しい.濾胞癌の可能性が高い濾胞性腫瘍は手術の適応である.

下垂体疾患

いかなるときに下垂体疾患を疑うか

著者: 高橋裕 ,   千原和夫

ページ範囲:P.1612 - P.1615

●まず病名を念頭に置いて積極的に疑うことが重要である.
●食欲,体重,尿量,便通の変化,暑さ寒さに対する感受性や月経異常の有無などの一般所見についての詳細な問診を大切にする.
●顔貌や体型の変化は過去の写真と比較するとわかりやすい.
●精神疾患と決めつける前に,代謝内分泌異常は必ず除外診断する.

下垂体疾患を疑ったときの検査の進め方

著者: 山田正三 ,   小澤安則

ページ範囲:P.1616 - P.1620

●下垂体疾患を疑い検査を進めていく場合,その疑った動機によってもその後の検査の種類,手順は当然のことながら異なってくるが,一般的には①簡単な下垂体前葉機能と,その標的器官の内分泌機能検査,②画像検査,③眼科的検査,にて下垂体疾患の有無と,ある程度の鑑別診断が可能である.それ以降は主として,専門医により確定診断および適切な治療のための精査が進められる.

末端肥大症

著者: 福田いずみ ,   高野加寿恵

ページ範囲:P.1621 - P.1623

●特徴的な顔貌から末端肥大症を疑ったら血中GH,IGF-1値を測定する.
●本症では75gブドウ糖負荷試験でGHは2ng/ml以下に抑制されず,TRH,LHRH,プロモクリプチン負荷試験においてGHの奇異性反応が認められる.
●治療の箪一選択はHardyの手術である.

高プロラクチン血症

著者: 加藤讓

ページ範囲:P.1624 - P.1626

●下垂体プロラクチン(PRL)の分泌は,通常視床下部ドパミン(DA)によって抑制的に調節されている.
●高プロラクチン血症はDAの作用低下や下垂体PRL産生腫瘍によって生じることが多い.
●典型的な臨床症状は,女性では無月経と乳汁漏出,男性では性機能低下である.
●血中PRLの測定と画像診断によって診断される.
●治療にはDA作動薬が有用である.

下垂体機能低下症

著者: 渡部肇 ,   須田俊宏

ページ範囲:P.1628 - P.1631

●下垂体機能低下症の病因としては,男性では下垂体腫瘍が最も多いが,女性ではSheehan症候群(分娩後下垂体壊死)が腫瘍と同程度の頻度で認められる.低頻度ながら常に考慮しなければならない疾患としては,ACTH単独欠損症やリンパ球性下垂体炎などがある.
●治療されずに放置されると,副腎クリーゼや下垂体性昏睡を併発しうる.これらは直ちに治療を開始しなければならない内分泌緊急症である.

尿崩症

著者: 大磯ユタカ

ページ範囲:P.1632 - P.1634

●中枢性尿崩症はバゾプレシン分泌低下により発症し,多尿,口渇,多飲を主徴とする.
●水代謝状態は高張性脱水に傾き,血清Naや血漿レニン濃度は正常上限〜高値となりやすい.
●確定診断は,機能診断には高張食塩水負荷試験が,画像診断にはMRIが必須であり,背景疾患の検索を忘れてはならない.

低ナトリウム血症

著者: 石川三衛

ページ範囲:P.1635 - P.1637

●低ナトリウム(Na)血症は,水電解質異常のなかで最も頻度が高い.
●大部分の低Na血症は系統的に検査することで,その病因を突き止めることは難しくない.しかし,高齢者では後述するように,バゾプレッシン(AVP)分泌不適切症候群(SIADH)が過剰に診断される傾向にある.

カルシウム代謝

高カルシウム血症

著者: 千勝典子 ,   福本誠二

ページ範囲:P.1639 - P.1642

●高Ca血症の原因としては,原発性副甲状腺機能亢進症と悪性腫瘍に伴うものが最も多い.
●高Ca血症は脱水などにより腎機能障害を惹起し,逆に腎障害はCa排泄を低下させ高Ca血症を増悪させる悪循環に陥る場合が少なくない.
●高Ca血症に対する対症療法としては,ビスフォスフォネート製剤が中心的役割を果たすようになってきた.

低カルシウム血症

著者: 山本通子 ,   尾形毅樹 ,   村上健彦

ページ範囲:P.1643 - P.1645

●低Ca血症に特徴的な所見はテタニー発作であるが,真性てんかんと区別できない痙攣発作を示す患者も少なくない.
●てんかんとして加療中の患者はしばしば無症状なので,低Ca血症除外のために一度は血清Ca値を測定しておくとよい.
●低Ca血症の鑑別診断には,血清P値とPTHの測定が有用である.ビタミンd作用不全病態の鑑別には,血中25-OHD(ただし保険診療の適用外)または1,25-(OH)2Dの測定が役立つ.

高血圧症や糖尿病のなかに潜む内分泌疾患

内分泌疾患と糖尿病,高血圧—総論

著者: 高木佐知子 ,   田辺晶代 ,   成瀬光栄 ,   高野加寿恵

ページ範囲:P.1648 - P.1652

●高血圧や糖尿病はありふれた疾患であるが,そのなかに多様な内分泌疾患が隠れている.
●内分泌組織の機能亢進をきたす病態では,高血圧や糖尿病を示すことが少なくない.
●特徴的な身体所見,低カリウム血症,レニン,アルドステロンの異常が重要な発見の手掛かりである.
●内分泌疾患による高血圧や糖尿病は,的確な診断と治療により治癒可能である.

Cushing病,Cushing症候群

著者: 柴田敏朗 ,   安田圭吾

ページ範囲:P.1653 - P.1655

●Cushing症候群の診断に有用な臨床所見は,皮膚の菲薄化,皮下溢血,紫紅色の伸展性皮膚線条などの皮膚所見,および満月様顔貌,水牛様脂肪沈着,中心性肥満などの特徴的な脂肪沈着である.
●耐糖能異常の頻度は高いが顕性糖尿病は少ない.一方,高血圧は高頻度にみられる.
●診断には,1mg overnightデキサメサゾン抑制試験が有用である.病型分類は各種検査結果を総合的に判断して行う.

原発性アルドステロン症

著者: 大村昌夫 ,   飯塚孝 ,   西川哲男

ページ範囲:P.1656 - P.1658

●原発性アルドステロン症は高血圧症以外の特徴的な臨床所見に乏しいため,その診断には本疾患を疑い,レニン活性とアルドステロンの測定を行う必要がある.
●原発性アルドステロン症の診断に至った場合,その原因疾患の確定が治療上重要である.
●アルドステロン産生腺腫は各種画像検査で発見できない微小腺腫が多く,原発性アルドステロン症の原因確定と病変部位の診断には副腎静脈採血法が有用である.

褐色細胞腫

著者: 木越俊和

ページ範囲:P.1659 - P.1661

●本症を疑った場合には,まず腹部超音波,CTスキャンあるいはMRIを行って腫瘍の存在を確認する.本症の腫瘍はMRI(T2強調画像)において高信号を呈するのが特徴的である.
●本症患者では持続型,発作型のいずれにおいても,尿中および血中カテコールアミンとその中間代謝産物であるノルメタネフリン,メタネフリンおよび最終代謝産物であるバニリルマンデル酸(VMA)の異常高値を示す.

複数の内分泌腺にまたがる障害

多発性内分泌腫瘍症

著者: 伊藤悠基夫

ページ範囲:P.1663 - P.1665

●高カルシウム血症を見逃さず,原発性副甲状腺機能亢進症を診断することがMEN1発見の最初のステップである.
●乳頭癌以外の甲状腺悪性腫瘍ではカルシトニンとCEAを一度は測定してみる.

成長障害

成長障害

著者: 田中敏章

ページ範囲:P.1667 - P.1669

●成長曲線と成長率を必ずグラフに描く.
●臨床上,成長率の低下が重要所見で,成長率の低下している例に,治療可能な内分泌疾患が診断される率が高い.
●成長ホルモン治療はまだ確立された治療法とはいえず,専門医が治療にあたるべきである.

性機能異常をきたす内分泌異常

月経異常で発見される内分泌疾患—総論

著者: 對馬敏夫

ページ範囲:P.1670 - P.1672

●性腺機能低下症は低ゴナドトロピン性と高ゴナドトロピン性に分類される.
●原発性無月経の鑑別診断には外性器異常の有無の判定と染色体検査が不可欠である.
●続発性無月経の場合,各種内分泌疾患による可能性も考慮する必要がある.
●高プロラクチン血症による無月経,乳漏症を逃さないことが重要である.

失天性副腎過形成症—成人発症例も含めて

著者: 藤枝憲二

ページ範囲:P.1673 - P.1675

●先天性副腎過形成症は,コルチゾールの生合成に必要な酵素の先天的な欠損により発症し,3βヒドロキシステロイド脱水素酵素の異常,三つのチトクロームP450酵素(21,17α,11β-水酸化酵素)の異常,StAR蛋白異常による病型がある.
●症状の発現時期は大部分新生児期であり,副腎不全症状を呈する.先天性副腎過形成症のなかで,3β-HSD欠損症,P450c21,P450c11欠損症では,古典型のほかに遅発型を呈する病型も存在する.遅発型では,多毛,にきび,生理不順,不妊などの症状を呈する.
●病型診断は,症状,内分泌検査所見,遺伝子診断により行われ,治療は不足する副腎皮質ホルモンの生理的補充を行う.

PCO—内科医が気をつけるべきこと

著者: 牧野恒久 ,   和泉俊一郎

ページ範囲:P.1676 - P.1678

●本邦におけるPCOでは,肥満,男性化徴候などを備えた典型例は少ない.
●診断上は,超音波断層上で特徴的な卵巣での多数の嚢胞状変化とLH基礎値の高値が重要である.
●卵胞発育の異常が,(卵巣局所での)アンドロゲン過剰やインスリン/IGFの卵巣での機能と関連することがしだいに解明されつつある.

男性性腺機能低下症

著者: 宮地幸隆

ページ範囲:P.1679 - P.1681

●男性性腺機能低下症はアンドロゲンの産生低下,精子形成能の低下あるいは両者がともに認められる疾患である.
●視床下部-下垂体系に障害のある続発性性腺機能低下症,精巣に障害のある原発性性腺機能低下症および精子輸送障害がある.
●思春期前では類宦官的体型を示し,また思春期を迎え,二次性徴の発育不全を示す.
●診断には血中テストステロンの測定をまず行い,次にLH,FSHの測定とLHRh負荷に対する反応をみる.
●治療としては,視床下部性のものであればLHRH,下垂体性のものではLHとFSH,精巣原発性のものではアンドロゲンによる治療を行う.

偶発腫瘍を見つけたとき

副腎incidentaloma

著者: 小島元子

ページ範囲:P.1684 - P.1686

●副腎と関係がない疾患の検査の際に,偶然発見された副腎腫瘤を副腎incidentalomaと呼ぶ.その頻度は,0.35〜4.36%とされる.
●副腎incidentalomaは,副腎皮質腫瘍と髄質腫瘍に大別される.このほかに副腎実質細胞以外から発生した腫瘍(脂肪腫,骨髄脂肪腫,嚢胞,線維腫,神経線維腫,血管腫),副腎出血や悪性腫瘍の転移がある.
●副腎incidentalomaのうち,ホルモンを過剰に分泌する例や悪性を否定できない例では,腫瘍摘出術が第一選択となる.

下垂体incidentaloma

著者: 橋本浩三

ページ範囲:P.1687 - P.1689

●CTやMRI検査で偶然発見される下垂体の腺腫(4〜20%)が下垂体incidentalomaである.
●対処法としては,下垂体機能を評価し,機能性腺腫では薬剤療法や手術を行う.非機能性で大腺腫の場合は視野障害や下垂体機能低下があれば手術を行う.それらがない大腺腫や微小腺腫では,経時的に画像検査や下垂体検査を行って経過を観察する.

座談会

内分泌疾患を見逃さないために

著者: 小澤安則 ,   宮地幸隆 ,   西川哲男 ,   山本通子

ページ範囲:P.1691 - P.1703

 小澤(司会)本日は「内分泌疾患を見逃さないために」をテーマにお話を伺いたいと思います.内分泌疾患というのは,もちろん内分泌専門の医師が最初にみつける場合もありますが,実際の臨床では一般内科医もしくは他科の医師から紹介されてくる場合が多くあります.そのなかには明らかなCushing病やacromegalyで,「もう少し早く見つかっていればなあ」と思われることも少なくないのではないでしょうか.
 内分泌の病気は,専門医以外にとってはかなり見つけにくいと思われていますが,われわれが冶していくためには,まず一般医家の先生方が見つけてくださることが重要です.そこで本日は,そのために一般医家に役に立つ,教科書には書いていない内分泌疾患の診療のコツなどをお聞きしたいと考えております.先生方のご経験を交えながらご意見をいただければと思います.

理解のための28題

ページ範囲:P.1707 - P.1712

カラーグラフ 病原微生物を見る・3

赤痢

著者: 池田英治 ,   奥山道子 ,   阪上賀洋

ページ範囲:P.1714 - P.1716

臨床症例および経過
 27歳,男性,会社員、8月3日出国.同日タイのチェンマイに到着し8月5日まで同地に滞在.8月6日,7日はバンコクに滞在.8月8日午前10時に関西国際空港に帰着.検便を受けた.現地では8月7日から熱感があったが午後3時頃からボーッとし,嘔気,下痢(この日2回,水様下痢)が始まった.嘔吐はなかった.8月8日も下痢が持続.血便はなかった.機内で解熱剤をもらって服用.この間,旅行に同伴した夫人は無症状であった.現地では生水,生野菜は食べていないが,氷入りのジュースや氷入りのウーロン茶は飲んでおり,現地人が切ってくれた果物も食べた.

連載

目でみるトレーニング

ページ範囲:P.1719 - P.1724

演習 胸部X線写真の読み方—心疾患篇・6

安静時胸痛を訴える37歳の男性

著者: 大瀧誠

ページ範囲:P.1733 - P.1740

Case
 症例:安静時胸痛を訴える37歳男性.
 主訴と経過:6カ月前に安静時胸痛にて発症.3カ月前に心不全(NYHA III)にて入院加療にて改善(NYHA I).3度の収縮期雑音あり.今回,心カテーテル検査目的で入院した.

Scope

インフルエンザワクチンの有効性

著者: 中山哲夫

ページ範囲:P.1725 - P.1730

 毎年,冬になるとインフルエンザが流行し,特に最近数年は老人ホーム,老人保健施設内におけるインフルエンザによる老人の死亡例が報告され社会の注目を浴びている.また,乳幼児の冬の脳炎・脳症の症例がインフルエンザに関連していることが明らかとされ,インフルエンザの重要性の認識が高まりつつある.抗ウイルス薬としてアマンタジンがA型インフルエンザウイルスに効果があることから,わが国でもやっと保険適用となり,また新たにノイラミニダーゼ抑制剤の開発も進んでいる.しかし,予防薬としては耐性株の出現の危険性から乱用は控えるべきであり,予防の観点からはワクチンに勝るものはない.インフルエンザワクチンの有効性を考えてみたい.

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・54

ハイデルベルク大学で詩を書いたクスマウル

著者: 二宮陸雄

ページ範囲:P.1742 - P.1743

 糖尿病昏睡の大呼吸で名高いクスマウルは,失語症,食道や胃の内視鏡や結節性動脈周囲炎の分野でも名が残っている.ハイデルベルク大学で医学を学び,フライブルク大学,ストラスブルク大学などの教授を経て66歳のときにハイデルベルク大学の名誉教授となり,この地で『老医師の青春回顧』や『ハイデルベルクの講師時代』を書いた.文学の香り高い本で,オスラーの愛読書であった.前者に収載されている詩の一つ「月に棲む人」を拙訳で紹介しよう.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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