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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

臨床検査総論

臨床検査の基準範囲と病態識別値

著者: 菅野剛史1

所属機関: 1浜松医科大学臨床検査医学

ページ範囲:P.10 - P.12

文献概要

基準範囲が設定される背景
 正常域(または正常範囲,正常値)という概念は,基本的には健常者の95%が占める検査値として統計的手法より算出され,疾病を判別する一つの“物差し”として利用されていた.したがって,大部分の検査項目では平均値±2SDの値が利用されていたが,この概念が十分には理解されず,正常値の設定は平均値±SDと設定される項目も存在した.算出方法に一定の規準が存在していたわけでもなく,考え方に一定の縛りがあったわけでもなかった.しかし,この正常値という言葉は,医療関係者以外の一般市民の間では,病気と病気でないものを判別するものとして理解され,健診/検診などでは,短絡的な考え方から利用されると一部で混乱を招くことになった.
 この用語の不適切さをはじめに指摘したのがDybkaer1)であり,この値を算出する基本を考慮して,正常範囲ではなく,基準範囲(reference interval)という言葉を利用することを提案したのである.すなわち,その値を算出する基本となった母集団の性格付けを明確にし,その母集団と同じ環境に存在する人が,自己の計測値をその母集団と比較する(referする)という考え方である.そのために重要となるのは,“20代の男性の非喫煙群”というような,基準範囲を算出する母集団の性格付けである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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