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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

けんさ—私の経験

尿蛋白—陰性にご注意!!

著者: 中根一憲1

所属機関: 1ひかりクリニック内科

ページ範囲:P.81 - P.81

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 腰痛や背部痛を訴えて来院した患者さんに,腎尿路系の疾患等を疑い尿検査をする場合,筆者は,尿一般定性検査(蛋白・糖・潜血・ウロビリノーゲン・ビリルビン・ケトン体・pH・比重)に加え,尿蛋白定量検査を行うことがある.以下にその理由を述べる.尿一般定性検査の尿蛋白定性反応は,一般的に試験紙法で行われており,pH指示薬であるプロムフェノールブルーが蛋白結合をすることを利用して蛋白を検出するものである.これはほとんどアルブミンしか検出せず,グロブリンやBence Jones蛋白等のM蛋白を検出しない.尿蛋白定性反応にてアルブミン以外の蛋白を検出するために,スルホサリチル酸法等が有用であるが,検査を外注にしている一般診療所ではスルホサリチル酸法等の検査を行うことができない.他方,尿蛋白定量検査は,現在ピロガロールレッド法が普及しており,同法によりアルブミン以外の蛋白の存在を知ることができる.したがって,尿蛋白が定性検査にて陰性,定量検査にて陽性ならば,尿中にアルブミン以外のグロブリンやBence Jones蛋白等のM蛋白が存在することになり,それらを呈する疾患(多発性骨髄腫,アミロイドーシス,マクログロブリン血症,悪性リンパ腫等)を疑うことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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