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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

けんさ—私の経験

糖尿病外来における自宅採尿

著者: 長谷川岳尚1

所属機関: 1渓和会江別病院消化器科

ページ範囲:P.93 - P.93

文献概要

 糖尿病性腎症の早期診断には,尿中アルブミン排泄量の測定が欠かせない.その検体尿の採取方法は時間尿が望ましい.しかし,通常の外来診療において多数の患者さんにこれを行うのは現実的ではない.そうかといって来院尿を用いると,日によって変動が大きい場合がある.そこで,患者さんに自宅で早朝尿を採取していただいて,持参してもらうことにしてみた.
 当初,果たして尿を持ってきてくれるかが懸念された.しかし蓋を開けてみると,全回収率は93人中90人で96.8%と良好であった.そのうち87人(93.5%)には定められた日に検体を提出していただけた.初回時には自宅での再尿手順の説明を要したが,糖尿病の患者さん方は採尿慣れしているせいもあり,特に不都合は生じなかった.また,病院ではすぐに排尿できない前立腺肥大の患者さんや,採尿に手間取る麻痺のある患者さんにはむしろ好評であった.診療の待ち時間の短縮にも効果があると思われる.さらに,微量アルブミン尿以外の患者さんにも自宅採尿を希望される方がいらっしゃった.この場合,同一日に空腹時尿糖と随時血糖の2時点の情報が得られるというメリットがあった.糖尿病外来において,自宅採尿は広く応用できる可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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