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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 一般検査 髄液その他の穿刺液

髄液検査

著者: 渡邊卓1

所属機関: 1杏林大学医学部臨床病理

ページ範囲:P.102 - P.104

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臨床的意義
 髄液(脳脊髄液:cerebrospinal fluid)は,くも膜下腔および脳室を満たす無色透明な水様の液体であるが,中枢神経系への物理的侵襲に対する保護の役目を果たすのみならず,脳室,くも膜下腔内の化学的ホメオスターシスの維持,栄養物質,代謝産物などの輸送,除去などの役割をも担うと考えられている.髄液は,成人では1日に約500ml程度,主として脳室の脈絡叢より産生されるが,脳室上衣,軟膜血管などからの寄与も考えられている.髄液は基本的には血液成分に由来するが,髄液の産生は単なる透過,拡散のみではなく,能動的かつ選択的な物質の輸送によるところが大きいと考えられる.実際,各成分の血漿/髄液間での濃度比には明らかな差異が認められる.産生された髄液は側脳室より第三脳室,中脳水道,第四脳室を経由し,Luschka孔やMagendie孔を通って脳,脊髄表面のくも膜下腔に拡散していくが,最終的には主としてくも膜顆粒のくも膜絨毛より静脈系に回収される.
 髄液検査が日常臨床のなかで特に重要な役割を果たすのは中枢神経系疾患の診断であるが,なかでも各種頭蓋内感染症の診断には不可欠な検査である.このほか,くも膜下出血,頭蓋内悪性腫瘍,脱髄疾患などの診断にも有用な情報を提供する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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