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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

けんさ—私の経験

心臓カテーテル検査と好酸球増多症

著者: 猪子森明1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院循環器内科

ページ範囲:P.149 - P.149

文献概要

 心臓カテーテル検査後にみられる好酸球増多症の原因は,造影剤や抗生剤などの投与された薬剤に対するアレルギーが多いと思われる.しかしながら,忘れてはならないものに,重篤な合併症として知られるコレステロール塞栓症がある.これは,大動脈壁のプラークから放出されたコレステリン結晶が全身に塞栓症を起こすことにより発症し,多彩な症状を呈する予後不良の疾患である.
 当院でも5年間に8例(0.16%)を経験しているが,発症1〜2年の間に半数が死亡している.多くの場合,好酸球増多(7〜56%)は臨床症状に先行し,カテーテル検査の平均15日後に全白血球の7%以上(あるいは1,500/mm3以上),かっ全白血球に対する比率が入院時の2倍以上に達した.そして,平均32日後に亜急性進行性腎不全や足趾チアノーゼなどの症状が出現した.経食道エコーが行われた症例(8例中5例)では全例で可動性プラークを認め,リスクの評価に有効であると考えられた.治療としては,抗凝固療法の中止や血液透析に加えてステロイド剤,血管拡張剤,腰部交感神経切断術などの有効性が報告されているが,当院では硬膜外麻酔を行い効果を認めている.近年,心臓カテーテル検査やインターベンションの適応が高度動脈硬化病変を有する症例に拡大される傾向があり,コレステロール塞栓症の予防と早期発見には常に留意する必要があると考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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