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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液検査 凝固/線溶系検査

アンチトロンビンⅢ/TAT(トロンビンーアンチトロンビンⅢ複合体)

著者: 中野一司1 丸山征郎1

所属機関: 1鹿児島大学医学部臨床検査医学講座

ページ範囲:P.160 - P.161

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 血管破壊や炎症などが原因となり,生体内で血液凝固反応が開始されると,凝固カスケード反応により,最終的に大量のトロンビンが生成される.トロンビンは,フィブリンの形成,血小板の凝集,平滑筋細胞の増殖などの様々な生体反応に関与し,血液凝固反応のみならず組織障害修復機構のキーエンザイムとして機能する.過剰のトロンビンは,容易に血管内血栓を生じさせる能力をもつため,役目を終えたら速やかに消滅させる必要がある.
 生体内で過剰のトロンビンを不活性化する因子の一つとして,アンチトロンビンⅢ(AT Ⅲ)がある.アンチトロンピンⅢ(AT Ⅲ)は,肝臓で合成されるセリンプロテアーゼ・インヒビター(serpin)ファミリーの一員で,トロンビンのほか,第Xa因子,第IXa因子などの強力な阻害因子である.生体内で産生されたトロンビンは,アンチトロンビンⅢ(AT Ⅲ)により,ヘパリン存在下で速やかに不活性化され,トロンビン・AT Ⅲ複合体(TAT)を形成する.したがってTATを測定することは,生体内で産生されるトロンビンを間接的に測定することである.TATの血中半減期は15分以下ときわめて短いため,TATは血管内でのトロンビン生成の適切なマーカーとなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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