icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

けんさ—私の経験

凝固時間延長を伴わないループスアンチコアグラント症例

著者: 山崎雅英1

所属機関: 1金沢大学医学部第3内科

ページ範囲:P.201 - P.201

文献購入ページに移動
 抗リン脂質抗体症候群(APS)は,反復する動静脈血栓症,習慣性流産,血小板減少症を特徴とし,抗カルジオリピン抗体(aCL)またはループスアンチコアグラント(LA)いずれかの自己抗体を有する自己免疫疾患と考えられている.aCLは固相抗体法により定量的に測定可能であるが,LAは凝固時間法を用いた定性的測定により診断される.一般的には血栓症などの臨床症状が認められ,プロトロンビン時間(PT)または活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長(特にAPTTの延長)を伴う場合にLAの測定が行われ,これらの凝固時間の延長が認められない場合には,さらなる精査が行われないことが多い.しかし,PT,APTTいずれも延長を認めないものの,カオリン凝固時間法(KCT),希釈ラッセル蛇毒時間法(dRVVT)などによりLAの存在が証明される症例もある.
 症例:35歳,女性.右下肢の深部静脈血栓症を発症し当科へ紹介.既往歴に自然流産3回あり.PT10.5秒(INR1.02),APTT32.5秒(対照33.5秒)と正常であったが,APSが強く疑われたためKCT,dRVVTを測定したところ,KCT234.5秒(対照102.5秒),dRVVT56.8秒(同35.8秒)と延長を認め,confirm testによりLA陽性と診断された(ちなみにaCLは陰性であった).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら