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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 蛋白

フェリチン

著者: 森啓1 小峰光博1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院内科血液

ページ範囲:P.202 - P.203

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 鉄貯蔵蛋白には,水溶性のフェリチン,水に不溶性で沈着するヘモジデリンがある.フェリチンは,細胞内に貯蔵されるが水溶性であるため,組織から血中に溶解され血清フェリチンとして測定される.フェリチンは,球状で分子量44,500のアポフェリチンが,空洞状の中央部に2,500〜4,000原子の鉄イオンを含んだ鉄複合体である.アポフェリチンは,24個のサブユニットからなり,鉄イオンは,サブユニット間の隙間を通路として出入りする.サブユニットには,H型(heavy,分子量21,000)とL型(light,分子量19,700)があり,H型とL型が種々の比率に集合してイソフェリチンを形成する.各イソフェリチンは組織によって異なり,肝や脾では,L-subunitの比率が高く,心臓ではH-subunitの比率が高い.
 血清フェリチンの増加する機序の一つは,組織内のフェリチンの変動である.鉄は,細胞内でフェリチンmRNAを増加させ,また鉄調節因子が,フェリチンmRNA上の鉄反応要素に結合するのを抑制するなどにより,フェリチン合成を促進する.血清フェリチンの1ng/mlは貯蔵鉄8〜10mgに相当するとされ,組織鉄の変動を反映して変化する.貯蔵鉄を反映せずに血中フェリチンが増加する機序として,肝臓その他,脾臓,骨髄,心臓,肺などにフェリチンが存在しており,これらの臓器が障害されると血中に逸脱して増加する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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