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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 蛋白

クリオグロブリン

著者: 大谷英樹1

所属機関: 1北里大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.216 - P.217

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 クリオグロブリン(cryoglobulin)とは,血清を低温(4℃)に保存すると白色沈殿またはゲル化し,34℃に温めると再溶解する熱凝固性蛋白(thermo-protein)の一種である.その主な構成成分は病的免疫グロブリンであり,M蛋白(単一クローン性免疫グロブリン),あるいは免疫複合体(immune complex)の一種である.したがって,クリオグロブリンは寒冷沈降性の特性をもつM蛋白,または寒冷沈降性の免疫複合体のいずれかであるといえよう.M蛋白はB細胞系の単一クローン性細胞の増殖,特に悪性腫瘍細胞によって産生されることが多い.低温でM蛋白の立体構造が変化し,溶解性が減少して白濁ないしゲル化するものと考えられる.他方,寒冷沈降性の免疫複合体の生成機序は不明であるが,ウイルス・細菌などの侵入あるいは免疫組織の不安定状態が原因となり,自己抗体が産生され,その結果免疫複合体が形成されるものと考えられる1).自己抗体としてはリウマトイド因子がしばしば見いだされ,免疫複合体はIgM-IgG型(IgMはIgGに対する自己抗体)のことが多い.
 寒冷過敏,Raynaud現象など血液循環障害に基づく諸症状がみられる場合や,膠原病などの,いわゆる免疫複合体病に属する病態,あるいは血管炎や腎障害を伴う本態性クリオグロブリン血症などでクリオグロブリンの検査が行われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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