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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 酵素および関連物質

トロポニンT,ミオグロビン,ミオシン軽鎖,心筋型脂肪酸結合蛋白

著者: 清野精彦1 池田真人1 呉小怡1 柏木睦美1

所属機関: 1日本医科大学第1内科

ページ範囲:P.276 - P.278

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 図1は心筋細胞内の各種心筋生化学的マーカーの局在と,循環血中への遊出動態を表したものである1).心筋生化学的マーカーとしては,主として細胞質可溶性分画に存在するクレアチンキナーゼ(CK),CK-MB,ミオグロビン,心筋型脂肪酸結合蛋白(hFABP)と,筋原線維を構成するミオシン軽鎖,トロポニンTなどが活用されている.虚血性心筋傷害が生じると,まず膜傷害により細胞質可溶性分画のマーカーが血中に遊出する(図1右上段).虚血が軽度で短時間のうちに解除されればマーカーの上昇は軽微であり(いわゆるnear normal elevation),心筋細胞傷害はまだ可逆性である可能性が考えられる.さらに虚血性傷害が進展し蛋白分解酵素が活性化されると筋原線維が分解され,トロポニンT,ミオシン軽鎖などの収縮蛋白が血中に遊出してくる(図1右下段,非可逆性傷害,心筋壊死).図2は著者らが急性心筋梗塞40例を対象に心筋生化学的マーカーの遊出動態を検討した成績である1)
 心筋トロポニンTは,約94%は筋原線維構造蛋白の一部を構成し,6%は細胞質可溶性分画として存在する.循環血中で半減期は約2時間であるが,健常者では検出されない(<0.05ng/ml).急性心筋梗塞では二峰性の遊出動態を示し,上記両相の病態を反映するものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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