icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

けんさ—私の経験

病的状態における正常値および疾患のマーカーとしての検査の判読についての教訓

著者: 山本淳1

所属機関: 1医療法人宝生会PL病院内科

ページ範囲:P.278 - P.278

文献購入ページに移動
 検査値には正常範囲が決められており,これに従って正常および異常と判読する.しかし,病的状態では,検査値が正常範囲内にあっても異常と判読される場合がある.また,疾患と検査との間には1対1の関係は存在せず,ある疾患の活動性の指標となる検査でも,他疾患のマーカーとなりうる.この当然のことが現場で認識されずに,診断を遅らせてしまった私の苦い経験を紹介する.
 慢性肺気腫で在宅酸素療法を受けていた患者を,前医から引き継いで診療した際に血液検査を施行した.Hb値13g/dlであったが,貧血とは判読せず経過観察とした.半年後,患者は嚥下困難を訴え,かろうじて胃カメラを受けたが,Borrmann III型の胃噴門部癌と診断された.遠隔転移巣はなかったが,患者が低肺機能者のため治療できず,3ヵ月のターミナルケア後に死亡した.2次性多血症の存在が念頭にあれば,早期から貧血を疑い,診断が可能であったと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら