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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

血液生化学検査 酵素および関連物質

コリンエステラーゼ(ChE)

著者: 松田信義1

所属機関: 1川崎医科大学検査診断学

ページ範囲:P.300 - P.303

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 生体内にはアセチルコリンを加水分解する2種類の酵素がある.一つはアセチルコリンを特異的に分解するtrue cholinesterase(EC 3.1.1.7,AChE)と呼ばれる酵素で,神経線維,神経筋接台部,赤血球膜および胎盤などに多く分布している.もう一つは,アセチルコリンのほかにアシルコリンも幅広く分解するpseudocholinesterase(EC 3.1.1.8,PChE,ChE)で,血清中に多く含まれている.通常,臨床検査で測定されるのは後者のChEである.
 血清のChEは肝臓で合成・分泌されて供給される.その半減期は約16日で,血清アルブミンと高い相関性を保って減少する.血清ChEは肝実質障害性の疾患において低下するが,これは肝臓での蛋白合成障害によるためと考えられている.しかし,血清ChE活性の減少は,肝障害だけに特有なものではなく,各種の消耗性疾患や悪液質に伴う低栄養時にも減少する.ChEの阻害剤である有機リンやカーバメイト系の薬剤(農薬,殺虫剤)による中毒では,血清ChEは著しく低下する.さらに遺伝性のサイレント型ChE異常症では,血清ChEの活性がほとんどゼロを示すほどまで減少する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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