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けんさ—私の経験
CPKと心筋梗塞
著者: 茅野千春1
所属機関: 1相沢病院内科・循環器科
ページ範囲:P.303 - P.303
文献購入ページに移動 心筋梗塞の診断にCPK(クレアチンホスホキナーゼ)の上昇は不可欠ですが,心筋梗塞の急性期にCPKの上昇を待って治療方針を決めている臨床家はまずいないと思います.急性期にCPKの上昇が確認できないことは日常茶飯事ですし,CPKの上昇を待って治療を始めたのでは遅くなるからです.胸部症状,心電図変化,心エコーによる壁運動異常などより心筋梗塞の診断に至れば,CPKの上昇を待たずに,適応があれば冠動脈造影を行い冠動脈形成術などの治療を考えてゆきます.その後のCPKの上昇は梗塞の大きさや再灌流の有無の判断の大切な指標となります.通常,疾患を診断して治療となるわけですが,重要な診断項目でも,このように時間のずれがあることは銘記すべきことかと思います.
CPKが当然上昇してくると考えていたのに,経過を通して有意な上昇が捉えられず,心筋梗塞といっていいものか困ったことがあります.1時間以上続く胸痛,心電図変化,心エコーの壁運動異常(前壁中隔領域でほとんど無収縮)より前壁の急性心筋梗塞と考えましたが,胸痛が自然に軽減してきたこと,前胸部誘導でST上昇が残っているものの陰性T波が出現していることより,自然再灌流したものと考えて,急性期は保存的に治療しました.その後何回か胸痛発作があり,約2週間後に冠動脈造影を行い,左前下行枝の起始部で90%の狭窄を認め,粥腫が一部主幹部にかかっていました.
CPKが当然上昇してくると考えていたのに,経過を通して有意な上昇が捉えられず,心筋梗塞といっていいものか困ったことがあります.1時間以上続く胸痛,心電図変化,心エコーの壁運動異常(前壁中隔領域でほとんど無収縮)より前壁の急性心筋梗塞と考えましたが,胸痛が自然に軽減してきたこと,前胸部誘導でST上昇が残っているものの陰性T波が出現していることより,自然再灌流したものと考えて,急性期は保存的に治療しました.その後何回か胸痛発作があり,約2週間後に冠動脈造影を行い,左前下行枝の起始部で90%の狭窄を認め,粥腫が一部主幹部にかかっていました.
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