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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 酵素および関連物質

リパーゼ,トリプシン

著者: 三宅一徳1

所属機関: 1順天堂大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.316 - P.317

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 膵リパーゼは,膵腺房細胞で生成され,膵液中に分泌される分子量48,000の酵素で,長鎖脂肪酸エステルを加水分解し,脂肪の消化を行う酵素である.血中に活性型として存在する数少ない膵酵素の一つであり,血清中の酵素活性が迅速,容易に測定できる.ヒトでは膵のほか,舌腺,胃などにも性質の異なるリパーゼが存在するが,現在の測定法は膵リパーゼに対する特異性が高く,その他のリパーゼの影響はないと考えてよい.
 トリプシンは,膵から分泌される分子量24,000の蛋白分解酵素である.トリプシンはほかの蛋白分解酵素と同様,膵腺房細胞から前酵素(トリプシノゲン)として膵液中に分泌され,十二指腸でエンテロキナーゼにより活性化されてトリプシンとなる.膵以外には存在せず,膵特異的な酵素である.血中での存在様式は主として活性のないトリプシノゲンであり,活性化されたトリプシンはprotease inhibitorであるα1アンチトリプシン,α2マクログロブリンと複合体を形成し,酵素活性を示さない.このため測定はトリプシンに対する抗体を用いた免疫学的測定法(RIA法)が用いられる.本法では交差反応を示すトリプシノゲンとα1アンチトリプシン結合トリプシンの両者が測定され,α2マクログロブリン結合トリプシンは測定されない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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