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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 酵素および関連物質

ACP(酸性ホスファターゼ)

著者: 鵜澤龍一1

所属機関: 1昭和大学医学部臨床病理学教室

ページ範囲:P.320 - P.321

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 酸性ホスファターゼ(acid phosphatase:ACP,EC3.1.3.2)は,酸性(pH約5)条件下でリン酸モノエステルを加水分解する酵素であり,ほとんどすべての臓器に存在する.しかし,前立腺組織の活性を100%とすると,ほかの臓器における活性は1%以下に過ぎない.また,体液中のACP活性にも大きな濃度差がみられ,血清ACP活性を1とすると,赤血球中ACP活性はその約100倍,白血球中は約20倍,血小板中は約1.5倍と高値を示す.精液中にもその活性は認められ,血清中の30万〜40万倍もの活性が存在する.
 細胞内ではACPは,主にマイクロソーム分画と,軽いミトコンドリア分画に存在するライソゾームに含まれる.ライソゾーム膜は細胞が虚血に陥り細胞内pHが酸性に傾くと破壊されるため,その中の蛋白分解酵素が遊離して細胞壊死が起こる.細胞壊死により血中ACP活性が上昇するので,ACPは一種の逸脱酵素である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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