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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 糖質および関連物質

グルコース

著者: 丸山道彦1 阪本要一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合内科

ページ範囲:P.333 - P.338

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 グルコース(ブドウ糖)は分子量180の単糖で,血液中の糖質の主成分であり,生体のすべての細胞の(中枢神経系にとっては唯一の)エネルギー源として最も重要な物質である.血中のグルコース濃度を血糖値といい,その恒常性(homeostasis)は血糖調節機構によって維持されている.生体内のグルコースは,大部分がグリコーゲンとして筋や肝に貯蔵されており,空腹時や絶食時には主にグルカゴンの作用によって,肝のグリコーゲン分解や糖新生から生成したグルコースが他の組織のために供給される.食物摂取時は,食物由来のグルコースが腸管から吸収されて血糖値が上昇すると,瞬時に膵β細胞からインスリンが分泌される.インスリンは体内に栄養を貯蔵する方向に作用し,門脈インスリンレベルの上昇は肝糖放出率を低下させ,全身の筋や脂肪組織での糖取り込みを促進して血糖値が低下する.夜間も血糖値が正常値を保っているのは,インスリンやグルカゴンがバランスを取り合い,肝糖放出率と全身の糖取り込み率が一致しているためである.この際,骨格筋や脂肪組織の糖の取り込みはインスリンに依存しているが,脳,肝,腎,胎盤,赤血球などはインスリンに依存せずに糖を消費している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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