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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 糖質および関連物質

グリコヘモグロビン

著者: 熊坂一成1

所属機関: 1日本大学医学部臨床病理

ページ範囲:P.339 - P.341

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 グリコヘモグロビンは,ヘモグロビンAのβ鎖のN末端アミノ酸にグルコースが非酵素的に結合したものであり,糖の結合が比較的急速に進むシップ塩基結合のアルジミンと,さらにその後,ゆっくり反応が進行し,アマドリ転移を受けて安定したケトアミンとに分類される(図1).前者のヘモグロビンと糖の結合は可逆的であり不安定型HbA1cと呼ばれ,後者の反応生成物は不可逆的である.現在の測定法のほとんどのものは,後者の安定型HbA1cのみを測定している.糖が結合する割合は,血中のグルコース濃度と時間に依存性であるために高血糖の程度とその期間に応じてその生成物は増加する.加重関数を用いた理論的な解析では,HbA1cは過去の単なる平均を反映するのではなく,加重平均血糖を反映することが証明されており,採血直前の1カ月間の血糖値が50%,その前の1カ月間の血糖値が25%,さらに前の2カ月間の血糖値が25%寄与していると考えられている.したがって,糖尿病の治療で血糖コントロールの指標の一つとして広く利用されており,実際の糖尿病患者への教育の場面では,HbA1cは採血時より遡っておよそ1〜2カ月間の血糖コントロール状態の平均を反映すると説明することが多い.
 糖尿病の慢性合併症を予防するには,HbA1cをできるだけ正常に近い状態(基準値に近い値)に長期間にわたり維持することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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