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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 糖質および関連物質

1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)

著者: 山内俊一1

所属機関: 1帝京大学医学部内科学

ページ範囲:P.348 - P.349

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は,構造がグルコースに類似したポリオールの一種で,体内に豊富に含まれる.この膨大な体内プールと不活発な代謝のため,正常人ではきわめて安定した血中濃度を示す.ごく微量が食物中より恒常的に供給され,体内に分布したうえで,余剰な分は尿中に排泄される.正常では腎尿細管の1,5-AG選択的トランスポータで99.9%再吸収されるが,高血糖に伴うグルコース排泄(尿糖)によりこの再吸収が競合阻害を受け,尿中へ喪失されて体内(血中)濃度が低下する.治療により尿糖排泄が全くなくなると,通常の摂取下で,0.3μg/日の一定の率で,その個人の正常値に回復する.血糖改善度が思わしくなく,尿糖排泄が続く例ではこの回復度が鈍くなる.
 1,5-AGはHbA1cや糖化アルブミンと異なり,直近の血糖コントロール状況を鋭敏に反映する高感度の血糖総合指標で,特にHbA1cが6〜9%の軽症糖尿病領域での血糖変動の把握に優れる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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