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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 脂質・リポ蛋白

LDLコレステロール,HDLコレステロール

著者: 岡田正彦1

所属機関: 1新潟大学医学部検査診断学

ページ範囲:P.374 - P.377

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 血液中のコレステロールは,一部が食事由来で,多くは肝臓で合成され分泌されたものである.コレステロールや中性脂肪は水に溶けにくいため,血液中では両親媒性(外側が親水性で内側が親油性)の膜に包まれている.種類がいくつかあり,それぞれ比重(サイズ)が異なっている.総称してリポ蛋白と呼ばれるが,大別するとカイロミクロン,超低比重リポ蛋白(VLDL),中間比重リポ蛋白(IDL),低比重リポ蛋白(LDL),高比重リポ蛋白(HDL)がある(図1).各リポ蛋白とも,固有の代謝回転を行っており,各種酵素やアポリポ蛋白が重要な働きをしている.例えばリポ蛋白リパーゼ(LPL)と呼ばれる酵素は,カイロミクロン,VLDL,IDL,LDLなどの異化を促進している.
 動脈硬化症で血管壁に沈着するコレステロールはLDL由来である.一方,HDLは血管壁やLDLなどに存在する過剰なコレステロールを引き出し,肝臓に戻す役割を果たしている.コレステロールは,ステロイドホルモンや胆汁酸などの原料となるほか,細胞にとって必須の構成要素である.したがって,常に一定量のコレステロールが血液中に存在している必要があり,また多すぎると動脈硬化症を起こす.血液中のコレステロールを一定量に保つため,一方で過剰に合成し,他方で余分な量を絶えず分解するという方式の制御機構が働いている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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