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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 血液生化学検査 脂質・リポ蛋白

Lp(a)〔リポプロテイン(a)〕

著者: 三宅紀子1

所属機関: 1順天堂大学医学部臨床病理学

ページ範囲:P.388 - P.389

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 Lp(a)はLDL粒子のapoB100にapo(a)が結合したリポ蛋白粒子の1つである.apo(a)はプラスミノゲンと相同性が高く,線溶系に関与する.例えば,フィブリンや単球・マクロファージ,血管内皮細胞へのプラスミンの結合を競合的に阻害することで血栓形成を促進する.また,プラスミンがTGF-βを活性化し,平滑筋細胞の遊走・増殖を抑制する作用を阻害する.これらの作用により動脈硬化を促進するとされている.Lp(a)血中濃度は0.5mg/dl以下〜100mg/dl以上と個体差がきわめて大きい.これはapo(a)の多型性による.apo(a)はクリングル様構造とプロテアーゼドメインからなる.クリングル様構造は10種類のクリングル4と1つのクリングル5からなる.このうち,クリングル4のうち2番目は3〜40の繰り返し構造をもつ(図1).この繰り返し数が多いほどLp(a)の血中濃度は高い.さらに,apo(a)遺伝子5'発現調節領域の塩基配列の多型性もLp(a)血中濃度に関与する.
 高Lp(a)血症では心筋梗塞,虚血性心疾患の発症頻度,心筋梗塞後の冠動脈バイパスや経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄頻度が高い.さらに,脳梗塞,頸静脈硬化など動脈硬化性疾患で高Lp(a)血症の頻度が高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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