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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

血液生化学検査 脂質・リポ蛋白

CETP(コレステリルエステル転送蛋白)

著者: 稲津明広1 小泉順二2 馬渕宏3

所属機関: 1金沢大学医学部保健学科医学検査学 2金沢大学医学部医学科総合診療部 3金沢大学医学部医学科内科学第2

ページ範囲:P.392 - P.394

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 CETPは,Zilversmitにより1975年に,リポ蛋白間でのコレステリルエステル(CE)の転送,交換を促進する蛋白としてその存在が知られるようになった.その単離はHeslerら,Jarnaginらによりなされ,1987年にDraynaらによりcDNAがクローニングされた.CETPはコレステロール(CHOL)逆転送系(reverse cholesterol transport:RCT)の重要な因子であり,CETP欠損症の病態解析を通じて,その測定が普及しつつある.HDLの脂質転送能の評価,HDLコレステロール(HDL-C)値の個体差や変動を理解するために有用な検査である.HDL関連酵素である,リポ蛋白リパーゼ(LPL),肝性リパーゼ(HTGL),レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)を同時に測定することでその検査価値は向上する.CETPとHTGLの低下はHDL-C値増加をきたし,LCATとLPLの低下はHDL-C値低値と関連している.
 HDLは,①動脈硬化巣を含めた末梢細胞由来や,②食事性および内因性のトリグリセリド(TG)の多いリポ蛋白(キロミクロンとVLDL)の水解により生じた余分なCHOL,リン脂質を受け取る.LCAT活性を介してCHOLのエステル化に伴い,HDL3からHDL2への粒子サイズの増大が認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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