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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 内分泌学的検査 下垂体

ADH(抗利尿ホルモン)

著者: 庄司優1 須田俊宏2

所属機関: 1弘前大学医学部臨床検査医学 2弘前大学医学部第3内科

ページ範囲:P.462 - P.463

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 ADHはアミノ酸9個からなるペプチドホルモンである.その前駆体は視床下部において転写・翻訳を受け,軸索輸送下にプロセシングされて下垂体後葉に貯えられ,刺激を受けて血中に分泌される.分泌されたADHは,腎集合管のV2受容体に作用し水再吸収を亢進させ(抗利尿作用),細動脈平滑筋のV1a受容体に作用して血管収縮を起こす.
 主な分泌調節は血漿浸透圧,循環血液量,血圧によって行われているが,生理的には,血漿浸透圧による調節が主体をなすと考えられている.血漿ADH濃度は下垂体後葉からの分泌を反映する.血漿ADH濃度と血漿浸透圧との間には正の相関関係が認められ,血漿浸透圧が272mOsm/kg以下になるとADH分泌は抑制される.このようにADHの正常値は血漿浸透圧によって変化すると考えてよく,ADH値の異常の検討には同時採血による血漿浸透圧の検査が必須である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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