文献詳細
文献概要
けんさ—私の経験
薬剤によるDexamethasone抑制不良の鑑別法
著者: 牧野晋也1
所属機関: 1大阪暁明館病院内科
ページ範囲:P.463 - P.463
文献購入ページに移動 薬剤により血中ステロイドの代謝速度が早まり,デキサメサゾン(Dex)抑制試験の結果も修飾を受けることが知られている.それらの薬剤としては,各種の抗痙攣剤やリファンピシンなどがあるが,視床下部-下垂体-副腎系の異常が疑われる症例において上記薬剤の内服が行われているときは,Dex抑制不良が疾患によるものか薬剤の影響であるかの鑑別が必要となることがある.その際に有用なのがヒドロコルチゾン(HC:50mg)負荷試験である.夜中に50mgのHCを内服し,翌朝8時に血中のコルチコステロン(B)を測定する.薬剤によるDex抑制不良であれば,HCにより血中Bは270ng/dl以下に抑制される(Arch Intern Med 134:1068-1071,1974).上記薬剤により,Dexが正常の血中半減期の40%に短縮するのに対し,HCは70〜80%の短縮と比較的影響を受けないことを利用したものである.われわれも,てんかんで抗痙攣剤内服中に全身倦怠感を訴えた72歳男性において,empty sellaと血中ACTHの高値,Dex抑制不良を認めた1例を経験した.HC負荷試験を行ったところBは抑制され,抗痙攣剤により視床下部-下垂体-副腎系が修飾を受けたものであることが判明し,HC負荷試験の有用性が確認された.Dex抑制試験の結果が納得できない場合に,ぜひ試みていただきたい検査である.
掲載誌情報