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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

内分泌学的検査 甲状腺・副甲状腺

T4/free T4,T3/free T3(サイロキシン/フリーサイロキシン,トリヨードサイロニン/フリートリヨードサイロニン)

著者: 池田斉1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター中央検査部

ページ範囲:P.464 - P.465

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 血中甲状腺ホルモン(T4,T3,FT4,FT3)が増加する主な機序には二つある(図1).一つは,甲状腺の自律的な機能亢進(Basedow病)によるもので,甲状腺内でホルモン合成と分泌の過程が亢進する.甲状腺濾胞細胞膜のTSHレセプターに対する自己抗体(TSHレセプター抗体:TRAb)の刺激によって起こる.第二は,甲状腺組織破壊によるホルモン漏出のために,血中甲状腺ホルモンが増加する場合である.これには,無痛性甲状腺炎(慢性甲状腺炎が基礎にあり,これに何らかの機序で濾胞破壊が起こる疾患)と亜急性甲状腺炎(ウイルス感染によると考えられる)がある.この場合は,甲状腺機能そのものは低下しているので,甲状腺のヨードやテクネシウム摂取率(123I摂取率,99mTc摂取率)は低下している.その他,機能性甲状腺結節による機能亢進症(Plummer病),下垂体からのTSH分泌増加によるTSH産生下垂体腺腫,下垂体のT3受容体異常による下垂体性甲状腺ホルモン不応症などがある.なお,甲状腺ホルモン結合蛋白(TBGなど)の増加によって,甲状腺機能に異常がなくても,T4,T3は高値になる(例えば妊娠など).その場合,FT4,FT3は結合蛋白の増加の影響を受けないため変化しない(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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