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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 内分泌学的検査 甲状腺・副甲状腺
PTH/PTHrP(副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連蛋白)
著者: 三上ともこ1 中村浩淑1
所属機関: 1浜松医科大学第2内科
ページ範囲:P.470 - P.471
文献購入ページに移動PTH(副甲状腺ホルモン)は,副甲状腺から産生されるアミノ酸84個のペプチドホルモンであり,骨と腎尿細管に存在するPTH/PTHrPレセプターに結合し,骨吸収と腎尿細管でのCa再吸収を促進する.また,腎における1,25(OH)2D3の合成を促進し,その結果,小腸でのCa吸収を高める.PTHの異常値は,副甲状腺そのものの異常による場合と,ほかの原因による血清Ca,P濃度の変化に対する変動である場合がある.PTH測定時には,同時に血清Ca濃度(アルブミンによる補正値)とP濃度を測定することが不可欠である.
PTHrP(副甲状腺ホルモン関連ペプチド)は,悪性腫瘍に伴う高Ca血症(humoral hypercalcemia of malignancy:HHM)を引き起こす主要な因子として知られている.N末端13アミノ残基中8個はPTHと同一であり,ここがPTH様の生物学的活性をもつと考えられている.PTHrPは,ほとんどの正常組織で産生されており,骨・軟骨組織の成長・分化,ケラチノサイトの増殖・分化や胎盤のCa輸送,平滑筋においてトーヌスを一定に保つ働きなどに関与するパラクリン因子である.正常人の血中にはごく微量しか存在しないが(多くの場合測定感度以下),腫瘍細胞から過剰発現されると骨と腎尿細管に存在するPTHと同一の受容体に結合し,骨吸収およびCaの再吸収を促進し,高Ca血症を起こす.
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