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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 感染症関連検査 ウイルス抗原・抗体検査

麻疹ウイルス

著者: 富樫武弘1

所属機関: 1市立札幌病院小児科

ページ範囲:P.512 - P.513

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麻疹の病態生理と臨床症状(図1)
 麻疹はRNAウイルスのparamyxovirus群morbillivirus科に属するmeasles virus(麻疹ウイルス)の呼吸器系感染症である.ウイルスは飛沫感染し,鼻咽頭粘膜細胞に吸着して感染が成立する.ウイルスは粘膜細胞をcell to cellの形で感染拡大したのち,所属リンパ節に到達する.ここで増殖の後,ウイルス単独あるいは細胞ごと血流にのって全身諸臓器に到達,そこで再増殖する.ウイルスの増殖によって細胞変性,脱落が起こり,さらにウイルスおよび感染細胞に対して,サイトカイン,免疫担当細胞が反応して炎症反応を起こす.
 感染から炎症反応開始すなわち臨床症状が表面に表れるまでの期間を潜伏期間という.通常この期間は10〜12日である.高熱に咳嗽,鼻汁,流涙,咽頭痛などのカタル症状を伴う(カタル期).高熱開始から約3日後に,左右の頬粘膜に特有の口内疹(Koplik斑)が出現する.一時解熱するが再度高熱が出現すると同時に,顔面に始まり,躯幹,四肢に至る紅斑性丘疹が出現する(発疹期).高熱,カタル症状出現から約7日後に解熱し始め,発疹はやがて色素沈着を残す(回復期).その後約1週間から10日後に色素沈着も消失する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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