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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

けんさ—私の経験

C型慢性肝炎のインターフェロン治療効果予測

著者: 野口修1

所属機関: 1武蔵野赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.523 - P.523

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 42歳の男性が,近くの開業医よりC型慢性肝炎のため紹介されてきた.紹介状によると,数年来診察されており,最近GPTの異常値が高くなったとのことである.詳細な診療経過が示されており,以前,他施設でインターフェロン治療を考慮されたときに行われた検査では,ウイルスのセログループ1型でbDNA 4.0Meq/lと高ウイルス量であることから,インターフェロン難治性と判断されたとのことである.最近,GPTが200IU/lを超えるようになったので紹介されてきたわけである.インターフェロン治療の感受性については近年詳細に検討されていて,確かにセロタイプ1型・高ウイルス量・男性などが難治性の因子であることが明らかとなっている.しかし,このままではみるみる肝病変は進行してしまうので,何かよい方法はないものかと,保険収載はされていないが最近注目されているゲノタイプ1b型(セログループ1型にほぼ等しい)のNS5a領域のアミノ酸変異を調べてみた.すると,何と変異数4個のいわゆる変異型ウイルスであった.これならインターフェロンも可能性が高いことを説明し,導入した.1年後,見事に完全寛解となり,ウイルスも消失し肝機能も正常化している.1b型のHCVにおけるNS5a領域のアミノ酸変異数検査は,ウイルス量と独立したインターフェロン治療の感受性因子(治療予測因子)として重要な検査値である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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