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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 感染症関連検査 ウイルス抗原・抗体検査

サイトメガロウイルス

著者: 本田順一1 大泉耕太郎1

所属機関: 1久留米大学医学部第1内科

ページ範囲:P.536 - P.537

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ウイルス抗体価測定の臨床的意義
 サイトメガロウイルス(CMV)は分類上herpes viridaeに入るDNAウイルスである.日本人においては,成人になるまでに約90%前後の人が感染しており,ほとんどの人は不顕性感染の型をとり,潜伏感染の状態で生活していると思われる.したがって,既にほとんどの人がウイルス抗体陽性となっている.よって,ある一時点のウイルス抗体価を検査しても,既感染であるか否かを判断できるのみである.
 サイトメガロウイルス感染症を診断する場合,その他のウイルスと同様,ペア血清のウイルス抗体価を測定する必要がある.ペア血清で有意な上昇が認められた場合のみ,潜伏感染から再活性化の状態にあることを証明することができる.ここで注意しなければならないことは,抗体価の上昇はCMVの再活性化の証明であって,感染症の診断にはならない,ということである.しかし,単一血清でIgM抗体が検出された場合は,CMVの初感染を検出している可能性が高く,感染症の診断として有用な場合がある.しかし抗体価の測定は,陽性所見を得ても,あくまで感染症の原因ウイルスとして確定することができる検査ではないということである.CMV感染とCMV感染症は同意語ではないことを肝に銘じておく必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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