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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 感染症関連検査 ウイルス抗原・抗体検査

ロタウイルス

著者: 牛島廣治1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科発達医科学

ページ範囲:P.538 - P.539

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 ロタウイルスは,腸管アデノウイルス,アストロウイルスおよびカリシウイルス(その一部はSRSVすなわち小型球形ウイルスあるいはsmall round structured virusともいわれる)とともに下痢症ウイルスに含まれ,頻度,重症度でもそのなかで一番重要視されている.その他のウイルス,細菌,アレルギーなどでも下痢症を示すが,ここでは省略する.
 ロタウイルス感染症は冬期乳幼児下痢症と呼ばれるように,冬期に乳幼児を中心にみられる嘔吐・下痢症であるが,冬期でも2〜3月を中心とし,乳幼児のみならず高齢者にもみられる.家族・学校・施設などでの集団発生もみられる.糞口感染によるといわれているが,飛沫感染も認められる.しかし,なぜわが国では冬期にみられるかははっきりしない.これらのウイルスは腸管上皮細胞で増殖する.ロタウイルスの場合は,ウイルス毒素あるいはエンテロトキシンといわれる感染細胞内でウイルスにより作られる非構造蛋白が,下痢との関係で注目されている.ロタウイルスの診断を行う目的は,集団発生のときの感染経路・原因をはっきりすること,感染の伝搬を防ぐことにあるが,個々の患者においても抗生薬の使用を考えるのに役に立つ.ロタウイルス感染での直接的死亡は,わが国では現在ほとんどない(10人以下)が,開発途上国では推定100万人(〜50万人)の乳幼児が死亡するといわれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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