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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗核抗体

著者: 小池竜司1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1内科

ページ範囲:P.568 - P.571

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 抗核抗体はその名のとおり,真核細胞の核内に存在するいずれかの物質(すなわちそれは動物の自己構成成分にあたる)に対する抗体である.いわゆる自己抗原になりうる物質の多くは核成分であり,その種類はきわめて多いが,臨床検査における抗核抗体とは,Hep2細胞などの核と反応する血清中の免疫グロブリンを間接蛍光抗体法(fluorescent antinuclear antibody:FANA)によって検出した結果を指す.したがって,非常に雑多な核成分と反応するものを全体で見ているだけであり,かなり非特異的なものであることを認識しておく必要がある.さらに近年測定系の改良や,判定に用いる蛍光顕微鏡の性能向上により健常者の陽性判定の頻度が上昇してきており,現在なお自己抗体の一次スクリーニングとしては有用ではあるが,その臨床的意義は薄れつつある.
 抗核抗体をはじめとする自己抗体が出現するメカニズムは依然不明であるが,全身性エリテマトーデス(SLE)を代表とする自己免疫疾患の一部ではほぼ100%で出現するものが存在し,一つの可能性として自己成分への免疫学的寛容の破綻が推測されている.それ以外にも感染の際の外来抗原と自己成分との抗原交差性,組織障害による自己成分の血流への曝露なども予想されている.また,自己免疫疾患の発病も健常者の抗核抗体保有者も明らかに女性が多く,性ホルモンの関与も予想されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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