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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗Scl-70抗体(抗トポイソメラーゼI抗体)

著者: 上阪等1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1内科

ページ範囲:P.580 - P.580

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 抗Scl-70抗体は,強皮症(scleroderma)に特異的に出現するとして報告された自己抗体である.Sclはsclerodermaの略で,70は抗体の反応する抗原の分子量が70kDaであったことに由来する.同じ抗体は,Og抗体など他の名称でも呼ばれた.その後,対応抗原が細胞核内に存在するDNAトポイソメラーゼIであることが明らかになり,分子量も実際は100kDaで,当初報告された70kDa蛋白はトポイソメラーゼIが部分分解されたものであったことがわかり,近年は,抗トポイソメラーゼI抗体と呼ばれることも多い.
 トポイソメラーゼIは,2本鎖DNAの超らせん構造を巻き戻す酵素の一つで,遺伝子発現や複製といった細胞の基本機能にかかわる酵素である.血清中に検出される本抗体が,細胞核内のかかる酵素を抑制して症状を起こす可能性はほとんどない.この抗体も,他の自己抗体の多くと同様に診断の補助となる抗体であり,特に強皮症の診断や予後の推定に役立つ.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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