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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 免疫学的検査 自己免疫関連検査
抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体
著者: 宮崎泰1 楠進1
所属機関: 1東京大学医学部神経内科
ページ範囲:P.596 - P.596
文献購入ページに移動抗アセチルコリン(ACh)受容体抗体は,重症筋無力症(MG)の患者血清中に認められる疾患特異性の高い自己抗体で,本疾患の診断のみならず病因とも深くかかわっている.AChRは神経筋接合部のシナプス後膜(筋肉側)に存在する膜内在性の糖蛋白質で,これに対する自己抗体が産生されると受容体数は減少して神経筋伝達障害が起こる.その結果としてMGに認められる筋力低下や易疲労性などの症状が出現する.なかでも眼球運動障害や眼瞼下垂などの眼の症状のみを呈するものは眼筋型と呼ばれ,四肢の筋も障害されるものを全身型と呼ぶ.
抗体の測定は,受容体と特異的に結合する神経毒(a-bungarotoxin)との結合を阻害する阻止抗体の活性の測定(blockade assay)と,受容体一神経毒複合物に対する非阻害型結合抗体の測定(binding assay)に二分され,後者の検出感度が高い.陽性率はbinding assay(抗ヒトIgG法)で全身型で80〜90%,眼筋型で10〜30%程度である.胸腺腫合併例ではこれらの値はさらに高率になる.全身型のなかでは,抗体価と臨床症状の重症度には必ずしも相関関係はみられない.個々の症例では,症状の変化と抗体価の変動に相関が認められることがある.
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