icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

免疫学的検査 自己免疫関連検査

抗リン脂質抗体

著者: 佐々木毅1

所属機関: 1東北大学医学部免疫・血液病制御学

ページ範囲:P.602 - P.603

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 抗リン脂質抗体(anti-phospholipid antibody:APA)は,カルジオリピンなどのリン脂質に対する自己抗体として報告された.その後APAはアポリポ蛋白H(β2-glycoprotein I:β2-GPI)やプロトロンビンなどに対する自己抗体であり,このほかにもプロテインC,プロテインS,アネキシンVなどの抗リン脂質・蛋白質に対する自己抗体も含む多様な自己抗体であることが判明してきている.
 臨床上では抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体,抗β2-GPI-CL抗体)とループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LAC,抗プロトロンビン抗体)に大別される.LACは,個々の凝固因子活性を抑制することなく,リン脂質依存性の凝固検査を阻害する免疫グロブリンとして見いだされ,抗プロトロンビン抗体の動態と相関することが指摘されている.いずれのAPAも血栓症,梗塞,習慣性流産の発現と関与することが多く,この場合には抗リン脂質抗体症候群(APS)と診断される.APAは,凝固因子あるいは血管内皮細胞,血小板にも結合し,局所での凝固線溶系異常をきたすことにより血栓症発現を惹起すると考えられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら