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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集

腫瘍マーカー 消化器系

CA 19-9

著者: 小田桐恵美1

所属機関: 1東京女子医科大学ラジオアイソトープ科

ページ範囲:P.650 - P.651

文献概要

異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 癌化に伴い糖鎖の変化が起きることはよく知られている.糖鎖は基幹構造からI型糖鎖(1Galβ3→3GlcNAc β1)とII型糖鎖(1Galβ3→4Glc-NAcβ1)に分けられる.CA19-9は代表的なI型糖鎖であり,抗原の決定部位はシアリルラクトN-フコペンタオースIIで,ルイス式血液型のルイスA(Lea)の糖鎖をシアル化したシアリルLea抗原とされる.
 CA19-9は,ヒト結腸・直腸癌培養株SW1116を用いて作製されたモノクローナル抗体NS19-9により認識される糖鎖抗原である1).当初,消化器癌を中心に検討されたが,膵,胆管,胆嚢癌において高い陽性率を示したことから,それまで特異的な腫瘍マーカーがなかった膵,胆管,胆嚢癌の腫瘍マーカーとして急速に臨床応用されるようになった.C19-9は正常の膵管,胆管,胆嚢,胃,唾液腺,気管支,前立腺,結腸,直腸,子宮内膜などの上皮細胞の細胞表面に微量見いだせるが,膵管,胆嚢,胆管に比べ他の部位のCA19-9の局在はまばらである.これらの部位の癌化に伴ってCA19-9は大量に産生され血中で検出される.CA19-9は分泌型として血中に存在するものは,健常人では分子量約20万の糖蛋白上に,癌患者では分子量約500万の巨大なシアロムチン上に多くの糖鎖抗原とともに存在すると報告されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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