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増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 腫瘍マーカー 消化器系
CA 50
著者: 川茂幸1
所属機関: 1信州大学医学部第2内科学教室
ページ範囲:P.652 - P.652
文献購入ページに移動異常値の出るメカニズムと臨床的意義
CA50はC50モノクローナル抗体により認識される糖鎖抗原で,sialyl Lewis Aとsialyl Lewis Cの2つの糖鎖構造を含む.sialyl Lewis AはCA19-9測定系で,sialyl Lewis CはDU-PAN-2測定系でそれぞれ認識される.しかし,C50抗体はsialyl Lewis Aに対する反応性が非常に強いので,CA50測定系はほとんどCA19-9測定系と同一であり,一部DU-PAN-2測定系の成績を含むと考えてよい.したがって,当初考えられていたルイス陰性症例に対する診断の有効性はほとんど認められない.異常値の出るメカニズムは大きく,①腫瘍からの産生,②外分泌腺のうっ滞,の2つが考えられる.腫瘍から産生されたCA50は高分子ムチンとして血清中に放出され,腫瘍マーカーとして診断に応用される.壊死を伴う大きな腫瘍,血管浸潤や遠隔転移を認める例では高値となるが,早期診断には有用性が乏しく,膵癌手術可能例では陽性率は約50%である.一方,これら糖鎖抗原は唾液,気管支分泌液,胆汁,膵液中などの正常外分泌液中に高濃度に存在し外分泌腺より排出されている.したがって,これら外分泌のうっ滞が生ずる病態でも異常値を認め,臨床的には偽陽性の背景を考えるうえで考慮しておかなければならない.
CA50はC50モノクローナル抗体により認識される糖鎖抗原で,sialyl Lewis Aとsialyl Lewis Cの2つの糖鎖構造を含む.sialyl Lewis AはCA19-9測定系で,sialyl Lewis CはDU-PAN-2測定系でそれぞれ認識される.しかし,C50抗体はsialyl Lewis Aに対する反応性が非常に強いので,CA50測定系はほとんどCA19-9測定系と同一であり,一部DU-PAN-2測定系の成績を含むと考えてよい.したがって,当初考えられていたルイス陰性症例に対する診断の有効性はほとんど認められない.異常値の出るメカニズムは大きく,①腫瘍からの産生,②外分泌腺のうっ滞,の2つが考えられる.腫瘍から産生されたCA50は高分子ムチンとして血清中に放出され,腫瘍マーカーとして診断に応用される.壊死を伴う大きな腫瘍,血管浸潤や遠隔転移を認める例では高値となるが,早期診断には有用性が乏しく,膵癌手術可能例では陽性率は約50%である.一方,これら糖鎖抗原は唾液,気管支分泌液,胆汁,膵液中などの正常外分泌液中に高濃度に存在し外分泌腺より排出されている.したがって,これら外分泌のうっ滞が生ずる病態でも異常値を認め,臨床的には偽陽性の背景を考えるうえで考慮しておかなければならない.
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