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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 腫瘍マーカー 呼吸器系

NSE(神経細胞特異的エノラーゼ)

著者: 有吉寛1 桑原正喜2

所属機関: 1県立愛知病院 2愛知県保健センター臨床検査部

ページ範囲:P.666 - P.666

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 解糖系酵素エノラーゼはα,β,γの3種類のサブユニットのうち,2種類からなる二量体酵素であるが,αγまたはγγのγサブユニットを有するNSEは神経組織に特異性が高いことから,神経特異エノラーゼ(neuron-specific enolase:NSE)と呼ばれている.NSEは神経組織以外に,神経内分泌細胞にも局在し,神経内分泌腫瘍や,その類似性格を有する腫瘍のマーカーとなる.臨床では血清腫瘍マーカーとして利用される.
 血清NSE値の上昇機序は,腫瘍細胞に含まれるNSEが細胞崩壊により血液中へ逸脱した結果であり,その意味では血清NSEは逸脱酵素である.したがって,悪性腫瘍で血清NSE値が上昇する場合は,細胞増殖が激しいために起こる増殖細胞の自家崩壊機転か,抗癌剤投与や放射線照射などの治療行為に伴う腫瘍細胞の崩壊機転が存在することが示唆され,その臨床的意義は大きい.換言すれば,腫瘍増殖が激しい場合(通常の血清NSE値上昇)と,治療の殺細胞効果が認められる場合(治療後の一過性血清NSE値上昇)が想定される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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