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文献詳細

雑誌文献

medicina36巻11号

1999年10月発行

文献概要

増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集 腫瘍マーカー 泌尿器系

PSA(前立腺特異抗原)

著者: 飯田暢子1

所属機関: 1東京都立駒込病院臨床検査科

ページ範囲:P.671 - P.673

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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
 前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)は,第19染色体長腕にある遺伝子(APS)の産物(分子量30,000〜34,000の糖蛋白質)で,主に前立腺上皮細胞で生成(Cowper,LittreおよびMorgani副生殖腺でも少量産生)され,前立腺液として精漿中に分泌され,そのキモトリプシン様酵素活性により射精された前立腺精漿の凝固を阻止して,精子の運動性を助け,受精の条件を整える機能をもつ.
 健康な男性の血清中にも微量(前立腺液中濃度の1/106)含まれており,前立腺および精漿PSAと同じ抗原性を示す.一部は精漿中のものと同じ分子量であるが,ほかはα1-antichymotrypsin(ACT)その他のセリンプロテアーゼインヒビタ(α2-Mなど)と1:1のモル比で結合している(分子量;PSA-ACT:100〜110,PSA-α2-M:700〜800).PSA-α2-Mは,抗原エピトープがα2-Mにより覆われているので抗PSA抗体を用いる測定法では検出できない.セリンプロテアーゼインヒビタと結合していないPSAは酵素前駆体,または分子の一部が限定分解を受けて酵素活性を失った開裂型のいずれかであるために反応できず,free PSAの状態で存在する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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